[1]運動軸となる腰椎の機能 | [2]腰痛の原因と腰痛症 | [3]打撃・守備・投球と腰痛 |
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具体的な腰痛コンディショニングの方法は、誌面の都合上、またの機会に紹介します。ここでは、主に脊柱機能チェック(柔軟性テスト)と神経誘発テストを紹介しますので実践してみてください。
1) ラセグテスト(SLR)
運動の軸となり力となる腰背筋と下肢の柔軟性をチェックし、腰の疲労度を見ます(下肢のチェックのストレイトレグレイズテストと同じ方法。97年9月号参照=③④のテストについても同様=)
片脚をそれぞれ挙上して、腰の痛みがなく90度まで挙がれば正常ですが、挙上できる角度が低かったり、腰から下肢に流れるような痛みがあれば要注意です。
2) クラウス・ウェーバーテスト変法と立位体前屈
腰痛が起こりやすい状態を早期にチェックできるのが、クラウス・ウェーバーテスト(脊柱機能テスト)の変法(大阪市大式)です。立位体前屈は97年9月号の体幹のチェックで紹介したのと同じです。
評価はそれぞれ0点から5点、6点まであります。それぞれのテストによって、筋肉の弱化や柔軟性の低下が判断できます。点数が低いほど疲労状態がひどく、腰痛予備軍と考えられますので、点数の低い部位の運動を積極的に行ってください。
3) パトリックテスト
このテストで、股関節外旋と内旋時の柔軟性と有痛感をみます。
股関節の痛みではなく、仙腸関節部に痛みがあるかどうかをチェックします。痛みがあったり、柔軟性が無ければ、仙腸関節部(大殿筋・梨状筋・内閉鎖筋)のストレッチとトレーニングが必要です。
4) 大腿四頭筋(神経)テスト
このテストでは、大腿部の前部にツッパリ感や痛みがないかどうかをチェックします。
ツッパリ感や痛みがあれば、腸腰筋、大腿四頭筋、下肢筋のストレッチとトレーニングが必要です。
5) 長母指筋屈曲テスト
足の親指を低屈(下へ曲げる)させ、その動きに対して抵抗をかけてみます。また、反対に、足の親指を背屈(上へ曲げる)させ、その動きに反して抵抗をかけます。
そのときに力を入れにくいような感覚、あるいは筋力低下が見られれば腰背部、大殿部、下肢のストレッチを行い、足関節の低屈と背屈運動を実施してください。
【参考文献】
『運動解剖学図譜』(高橋彬・監修、ベースボール・マガジン社)、『スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害』(市川宣恭・編集、南江堂)、『スポーツ外傷・障害とリハビリテーション』(福林徹・編集、文光堂)、『腰診療マニュアル』(森健躬・著、医歯薬出版)