[1]投球動作の支点となる肩関節 | [2]いわゆる「野球肩」 | [3]肩甲上腕リズムのチェック | [4]肩甲胸郭関節の機能チェック |
肩甲胸郭関節の機能レベルを調べるにはいろいろありますが、簡易な方法として次に四つ挙げておきます。
4) 前方挙上テストA
腕を体幹に下垂し、ゆっくりと前方に挙上させていきます。その際、肩甲骨が胸郭に引き寄せられながら、上方回旋方向に動きます。痛みなく、180度まで挙上できるかどうかをチェックします。
この動きで、肩甲骨を動かす僧帽筋、肩甲挙筋、前鋸筋のバランスをみることができ、主動筋の三角筋、大胸筋、前鋸筋、拮抗筋の広背筋、大円筋の柔軟性をみることができます。代償動作として肩甲骨が挙がらないように、左右の肩を水平に保ちながら行ってください。
5) 前方挙上テストB
あお向けになり(仰臥位)、腕を体側から前方へ挙げていき、両腕を耳の横ぐらいまで動かします。
いい状態なら肩甲骨が動いている様子がわかり、肩甲骨の下角が体幹の外側に見ることができます。疲労状態であれば、挙上動作もしにくく、両腕は耳まで近づきません。
このテストの際も、痛みの有無や左右バランスを見てください。
6) 腕立て伏せテスト
通常の腕立て伏せか、下の写真ように壁を押してもかまいません。このテストでは、ヒジを曲げるときに肩甲骨が背中に寄り(肩甲骨内転)、ヒジを伸ばす動作で肩甲骨の内縁が後方へ浮き出されます。
いい状態であれば、肩甲骨の動きを見ることができますが、柔軟性が弱くなると動きがわかりにくくなり、左右のバランスが崩れてきます。
7) 結髪動作テスト
両手を頭部の後方で組み、ヒジを横に広げることで、下方回旋と内転が起こり、肩甲骨が引き寄せらせます。次に、ヒジを前方で引き合わせる動きで、肩甲骨の上方外旋と外転の動きがみられ、肩甲骨が後方に突き出される状態がわかります。
この動きでも、肩関節の柔軟性をみることができます。
【参考文献】「スポーツ指導者のためのスポーツ外傷・障害」(市川宣恭・編集、南江堂)