[1]基礎体力づくりの重要性 | [2]筋力アップのためのトレーニングの原則 | [3]筋収縮の方法によるトレーニングの分類 | [4]PNFトレーニングとは |
2) 負荷漸増の原則
少しずつ負荷量や回数、時間を伸ばしていく「負荷漸増の原則」は、強度をいきなり高くして組織を痛めないよう、段階的に運動量を増やしていくということです。この際、負荷を決定する目安として、ウェートの場合はRMを使い、全身持久力の場合は、(最大酸素摂取量)を用います。に対する強度は%で表し、時間と距離によって負荷を決定していきます。
一定の負荷に適応し、そのレベルに慣れると次の負荷へ移行していかなければなりません。1)過負荷の原則を理解して、負荷を高めていきます。8RMが10キロであったのに、いつの間にか8回以上、たとえば10~12回が楽になってきたら、8回で疲労が最大限に現れたウェート量を8RMと再設定して次の負荷を決めていけば、組織のダメージが少なく過負荷の原則を守れます。
3) 意識性・継続性の原則
トレーニング開始にあたって、自分の体力レベルを知ったり、トレーニングの目的を理解して、その効果を自覚することで、意識性が高まり、継続性にむすびついていく「意識性・継続性の原則」もあります。トレーニングの成果は、一朝一夕にではなく、長期間にわたって続けてこそ得られるものですから、継続性はとても大切な要因のひとつです。
野球においては1年間を大きくオフ期とプレシーズン期、および試合期(シーズン)に分けられます。
一般的にオフ期は基礎体力づくり、プレシーズンや試合期は技術(スキル)や連係プレーの練習が中心になるケースが多いと思われます。その結果、シーズン中はトレーニングがおろそかになり、せっかくオフ期で作られた基礎体力の低下が、試合でのパフォーマンスの低下や、疲労疾患である筋肉の凝り、柔軟性低下、腱炎など、さまざまなスポーツ障害にもつながりやすくなるのです。
したがって、シーズン中こそ、パワーや柔軟性、コントロール性を保持するために、基礎体力を維持するトレーニングを導入しておく必要があります。たとえば、筋力維持のために、6RM×3セット(1回3~5秒静止)を週2日。ほかの日は筋持久力や関節の柔軟性の維持を目標において、徒手PNFやチューブ、ダンベルを使ったトレーニングなどを組み込んでおくといいでしょう。全体的に軽めの負荷にします。
オフ期は大筋群や小筋群の筋力や全身持久力、敏しょう性などを高めるために、多要素を組み込んだサーキットトレーニングを重点的に行い、プレシーズンや試合期はパフォーマンス性を高めるために、投打に繋がる機能の円滑さやスキルを向上させる動作に対応したPNFトレーニングを行うほうが、より効果的です。フォームの分析や特殊性(ポジション・技能)に応じたプログラムを組む必要があるでしょう。
4) 全面性・特異性・可逆性の原則
体力には種々の要素があり、可能な限り、いろいろな要素を取り入れたトレーニングを行う必要があるという「全面性の原則」があります。たとえば、筋力や全身持久力、柔軟性などの要素で、それも一部分のトレーニングに偏らず、上肢・下肢・体幹にわたる全体的なトレーニングをしなければならないという意味です。
これは、トレーニングを行った部位や器官は強くなりますが、そうでない部分は強化できないという「特異性の原則」もあるからです。また、どのような強靭な体力でも練習を怠ると低下を招くという「可逆性の原則」もあり、いろいろな原則を考慮していくことが、トレーニング効果を得るために大切です。