[1]神経の促通と固有受容器との協応 | [2]コンディショニングの必要性 | [3]ストレッチの効果と方法 |
スポーツ選手はそのスポーツの種類によって、いろいろな体格、体型がつくられます。よく使っている筋肉はより発達しますが、あまり使わない部位の筋肉はそれほど強い力をもっていない人も多いようです。
トレーナービリティー(トレーニング効果)を高めるためには、そのスポーツのバイオメカニクス(生体力学)を知り、フォームを分析して、そのフォームに必要なパワーや柔軟性を養っていく必要があります。野球であれば、野球の動作の分析が必要になります。そして、スポーツ力学、生理学、トレーニング学、神経学、栄養学、医学、心理学など、いろいろな要素を理解していきながら、トレーニングプログラムを組み立てることが望ましいと言えるでしょう。
また、スポーツ指導者はスキル面だけの向上を追い求めるのではなく、常に個人の体調・メンタル・食事内容などを十分に把握し、選手をよりよい状態でスポーツに臨ませるように心がけてほしいと思います。そうした意識を持つことでいい人材はより伸び、トレーナビリティーも向上していくことでしょう。
スポーツマンの身体づくりは、(1)体力アップ、(2)テクニカルアップ、(3)筋コンディショニング、(4)メンタルトレーニング、(5)栄養学などを指針として、いろいろな角度からトータルに考察しなければなりません。そのひとつとして、筋コンディショニングは、いかなるスポーツ人にとっても必要なことです。筋力トレーニングを実施するにも、技術練習をするうえでも、あるいは疲労性疾患とも言われているスポーツ障害を予防するためにも、筋肉をよい状態に保つということが大切です。
筋肉は収縮することでエネルギーを生み出し、いろいろな動作を行うことができますが、使い過ぎると筋肉内の代謝が円滑に行われなくなり、筋力を発揮しにくい状態となります。筋肉には運動を起こす筋群と関節を安定させる筋群、姿勢保持のための筋群などがあり、さまざまな働きをしながらひとつの動きを担っています。疲労によってそれらの筋肉の柔軟性が失われたりバランスが崩れると、パワーや持久力も減少し、フォームもダイナミックさが欠けて乱れていきます。効率のいいフォームを維持し、ベストコンディションで試合に臨むためには、運動前後の筋コンディショニングがたいへん重要となります。
心身を調整していくコンディショニングの代表的な方法には、理学療法(温熱・冷却・マッサージなど)、ストレッチ、リラクゼーション法、PNF(神経筋固有受容器促通法)、AKA(関節運動学的アプローチ)、マニピュレーション(操作テクニック)などがあります。今回は、コンディショニングやPNFトレーニングを行ううえで必要不可欠な、ストレッチについて説明します。