[1]PNFトレーニングの方法 | [2]PNFテクニックパターン | [3]PNFでの抵抗のかけ方 | [4]体幹のPNFトレーニング |
以前にも述べたように、もともと理学療法のひとつとして研究されてきたPNF(proprioceptive neuromuscular facilitation=神経筋固有受容器促通手技法)のテクニックが、近年、スポーツの現場で筋力強化やコンディショニングに応用され、注目を集めていることは広く知られるところでしょう。そのトレーニング効果については、これまでも簡単ながら触れてきましたが、今回からより具体的な方法へと入っていきたいと思います。
まず、PNFトレーニングを実施するときには、その主働筋の働く方向や筋肉の付着部を理解し、トレーニングをする人の筋肉レベルを十分に把握することが大切です。また、強さ、位置といった抵抗(負荷)の与え方はたいへん重要なことであり、常に促通性の高いテクニックパターンが研究され、臨床では大切なアプローチとして実践されています。
PNFにおいて大きな抵抗を用いることは、筋力を増強するとともに、神経の発散を促すのに素晴らしい効果があります。しかし、あまりに強い負荷(呼吸が激しく乱れるくらい)をかけ過ぎて、動かしたい可動域まで到達しないうちに動きを止めてしまっては、十分に主働筋の力を引き出すことができなくなりますから、効果を損なわない範囲内で高負荷をかけることが求められます。
抵抗のかけ方としては、主働筋の働く方向の延長線上に手や腕、体重を使ってかけていきます。選手の筋力や関節の状態に応じて、支点(関節)から重点(負荷の位置)を考えます。支点から遠く離れての手や腕での抵抗は大きな負荷となり、反対に近い場合は負荷が小さくなります。このようなテコの原理も、トレーニングの負荷を設定する際に必要となる知識です。
また、正確な抵抗を与えることで、抵抗という刺激に対してその反応が周囲の筋線維群にも広まり、神経の伝達、伝導性をより高めることができます。
例えば、股関節の屈曲への抵抗は体幹の筋群にも刺激が広がり、屈筋の収縮性が促通されると言われています。このようなPNFパターンを利用して、股関節屈曲のトレーニング後に体幹の腹筋群への運動を取り入れると、腹筋の力が発揮しやすい状態にあるので強化も図りやすくなるのです。