[1]PNFトレーニングの抵抗のかけ方 | [2]股関節のねじれ強化のPNFトレーニング | [3]PNFストレッチの方法 | [4]足腰の疲労除去、腰痛予防に効果もあるPNFストレッチ |
1) 腸腰筋と縫工筋のPNF
背臥位でヒザを伸ばし、股関節屈曲方向へつま先を背屈させ、ヒザを曲げながら抵抗に抗して引き上げていく(コントラクト)。ヒザが不安定にならないように片方の手でヒザの上あたりをサポートし、他方の抵抗の手は背屈しているところにかける。最終域90度でホールド(5、6秒)キープさせる(写真1)。
縫工筋は、同じ要領で斜めの外旋方向に動かし、下腿の足首に内反に対しても抵抗をかける。
2) 大殿筋のPNF
腹臥位でヒザを伸展位とし、一方の手は股関節部より少し上の大殿筋に置き、骨盤が歪まないよう固定する。他方の手はふくらはぎか足首も置き、ヒザを伸ばしたままつま先は低屈、伸展する。その際、つま先を低屈・外反・内反にして行う。こうすることで股関節を外旋・内旋させ、より安定した状態でトレーニングができることになる(写真2)。
3) ハムストリングスのPNF
腹臥位でヒザを伸展した状態で、つま先を背屈させる。一方の手はヒザの部位に置き、ヒザがぶれないように固定し、他方の手で足首を持ち、コントラクトしながらヒザを曲げていき、最終域で5、6秒ホールドさせる。つま先を外転・内転させて同じテクニックも行う。
その動きで、ハムストリングスの内側と外側にある筋群を強化することができる(写真3)。
4) 外転筋・中殿筋のPNF
横臥位でトレーニングをするほうを上にして、下側の足は軽く屈曲し、体幹を安定させる。上方にある足を、つま先を前方に向け、ヒザを伸ばしたまま抵抗をかけるほうの手を脚の外側部分に置く。他方の手は動きの支点となる股関節外側部に置き、骨盤を固定する。この状態から外転45度まで動かしながらコントラクトしていき、最終位置でホールド(5~10秒)リラックス(写真4)。
5) 内転筋(短内筋・長内筋・大内筋・恥骨筋・薄筋)のPNF
横臥位で下側を伸ばし、上側の足を内反にして、床に置く。次に下側の足を押し下げようとする抵抗に対して、内転方向へ押し上げていく。抵抗のかけ方は4)と同じで、抵抗の位置はヒザの上か下、足首にかける(写真5)。
6) 外旋筋・内旋筋のPNF
ヒザを伸ばし、つま先を背屈にした状態から背屈位に抵抗をかけ、股関節屈曲方向にヒザを曲げながら、90度のところまで抵抗に対して押し上げていく。そこから外転方向へ、そして、流れるように外旋45度まで抵抗に抗して動かす。次に、つま先を低屈しながら抵抗に抗してヒザを伸ばし、元の状態に戻していく(写真6~10)。同じ要領で、屈曲・内旋・伸展パターンを行う。
バッティングや投球に必要なカベをつくるためには、股関節と下肢につながる筋肉の連動した動きによって股関節のねじれを強くすることです。ねじれの筋肉は、縫工筋、大腿筋膜張筋、大腿方形筋、中殿筋、小殿筋、内・外閉鎖筋などの筋群が大きく関わりを持ち、私どもでは以下のような促通性の高いパターンのPNFを行っています。
(1) 股関節屈曲・外転・内旋パターン
(2) 股関節屈曲・内転・外旋パターン
(3) 股関節伸展・外転・内旋パターン
(4) 股関節伸展・内転・外旋パターン
その結果、トレーニングを施した選手には下肢筋の強さや股関節の柔軟性や仙腸関節の柔軟性も現れ、「バッティング練習のときにカベがつくりやすく、スイングに威力が出てきた」と好評です。